FC2ブログ

温度 12


ぐっすりと眠って、起きたのはなんともうすぐ日も傾きかける夕方だった。
「んーー!!よく寝た!!うわ!!もうこんな時間!!こんなに寝ちゃってたのか。なんだか、久しぶりにちゃんと寝たかも・・・。よし!!顔でも洗ってちょっと買い物でもいこっかな。」

着ていたパジャマをぬぎ、いつものスカートにセーターに着替える。
顔を洗い髪を整えて、財布を小さなバックに移し変える。
この財布は、昔使っていたぼろぼろになった財布。
トラップに貰った財布はシルバーリーブにおいてきた。パーティのお金が入っているし、思い出しちゃうから。


うちを出て、いろんな店をぶらぶらみて歩く。
こんなゆったりした時間、この町にきてあっただろうか。

食材を少し買い、ちょっと喉が渇いたのでカフェでお茶をのんだ。
窓の外では、たくさんの人が行き来している。
その中にぼろぼろに傷ついていたが、背の高い、さらさらの赤い髪の冒険者の姿をみつけてしまった。

・・・うそ・・・。まさか、こんな場所にいるはずがない!!でも、あれは・・・トラップ?

トラップらしき人は店の中の私には気づかず、人ごみの中に消えていった。

まさか、まさか、まさか!!
支払いを済ませ、慌てて飛び出したけれどその姿はどこにもない。
見間違いだったのだろうか・・・。

まさか、もう、1ヶ月もたってるものね。こんなところまで探しに来てくれるわけなんか、あるわけないじゃない!!
きっと、見間違いだろうな・・・。やだな、早くあきらめなきゃ駄目なのに・・・。
見間違いでも、幻でも彼に会えてうれしいだなんて・・・。
駄目、泣いちゃ!!ここはまだ町の中なんだから!!
あふれ出る涙を必死にこらえ、急いでうちに向かって走り出した。

ようやく、うちの前にある私が働くパン屋の前に付いた時、店の中から、声が聞こえてきた。
お店、お休みなのに誰か来てるのかな?赤ちゃんが産まれたからお祝いにでも来てるのかな?
今は誰にも会いたくないから早く家に入らなくちゃ!!こんな顔、ステアさんにみられたら、心配かけちゃう!!

いそいで、店の前を通り抜けようとしたとき、中から飛び出してきた人に思いっきりぶつかってしまった。

「痛たたたた!!」
「わっわりい、大丈夫か?」
「おい、おい!!パステル大丈夫か?そっちのあんちゃんも!!」
ステアさんが心配そうに転んでしまった私に手を貸してくれる。
「パステル?・・・パステル!!!おめえ、こんなとこに!!!馬鹿野郎!!俺がどんだけ探したか!!ずっと、ずっと探してたんだぞ!!」
「・・・・・・トラップ」
「なんだい?知り合いかい?ああ、あんちゃんが探してるって女の子はパステルのことだったんだな。こんなとこじゃ話しもしずらいだろう。旨いコーヒーを入れてやるから、店の中で話しな。俺は上にいるから」

ステアさんにそう言われたらもう逃げられない。
トラップの顔がみれない。促されるまま店の中に入る。後ろからトラップも付いてきているのが解る。

一番奥の席に座り、その前にトラップがどっかりと座った。
顔を上げることができない。重たい空気が流れる。
コポコポとコーヒーのいい香りがしてくるけど、私は息をするのも重たかった。
・・・さっきのは、見間違いじゃなかったんだ。

怖い、怖い、怖い。
どうしたらいいの??

「・・・俺は、上にいるから。ちゃんと、話をしな。わけありの原因は、彼なんだろ?」
入れたてのコーヒーを出してくれながら、ステアさんが優しく私に聞いてくれた。
「・・・はい」

私の頭をぽんぽんとたたいたあと、ゆっくり二階に上がっていった。


長い沈黙の後、二階でパタンとドアの音が聞こえてから、トラップが重い口をひらいた。

「・・・・・・久しぶりだな。」

懐かしい声。会いたくて、でも会いたくなかったトラップが今、目の前にいる・・・。
FC2カウンター
プロフィール

まんまるり

Author:まんまるり
こちらは、フォーチュンクエストの非公式ファンサイトです。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク